お子様のピアノの練習の方法と上達のコツ

執筆者:教室助手
ピアノを習うお子さんのよくある質問 ⇨
何歳だとどれくらい弾けますか?

YouTubeで演奏を聴くと、4歳、5歳、6歳と言った年齢と上達レベルの関係がわかります。

4歳くらいで始めるのが望ましいです。小学生で始めても毎日一生懸命練習すれば上手になります。家で練習している場面では、ピアノの種類(アップライトかグランドピアノか電子ピアノか)の関係にも注意して見て下さい。

YouTubeで上手なお子さんの例です。

ご注意: これらのお子さんは特に上手な方々で、毎日、長時間の練習をしていると思われます。個人差は非常に大きいので、過度な期待や練習の強要は禁物です。

ピアノが早く上達するコツはなんですか?

好きになること、そのために、いつもピアノ曲を聴くことです。

上達するコツは、とにかくたくさん練習をすること、と考えがちですが、 もっと良い方法があります。

多くのお子さんを見てきて、その前のステップが重要だと思うようになりました。練習をする気持ち、音楽が好きになる動機が重要です。

普通の子供の環境には、アニメ番組のテーマ曲はあっても、ピアノ曲もクラシック音楽もありません。 ですから、小さな子供はピアノ曲がいかに素晴らく、心を惹きつけられるものであるかを知りません。 そのような環境で、ピアノを好きになって欲しい、練習して欲しいと思っても無理があります。

多くのお子さんを見てきたら、お子さんがピアノを上手になるか、ずっと続けるかどうかは、ご両親がいつもピアノの曲を聴いているかどうかで大きく違うことに気がつきました。(子供自身が自分からピアノ曲を聴くことはまずありません。)

ご両親がモーツァルトやショパンなどのピアノ曲を聴く習慣を持てば、お子さんの耳にも入ります。Youtubeで同年代のお子さんが弾いている発表会を見るのも楽しいでしょう。どなたにも容易にできることです。

CDを何枚か決めて、同じ曲を10回くらい聴くと曲を覚えます。心の中で音楽が鳴るようになります。音楽が心の友になります。

いろいろ聴くと、曲の違いや作曲家の違いやがわかってきて、自分の好きな曲ができてきます。例えば、シューベルトは寂しい時に、ブラームスはロマンチックという感じです。すると、その曲を弾きたいと強く思うようになります。音楽とピアノの練習が「楽しみ」「喜び」になります。

例えば、「音のパレット」の先生は少しでも時間があったらピアノを弾きたい、ピアノ♥と思うようです。

最初のCDのお勧めは?

ピアノのおけいこのために

巨匠パウル・バドゥラ=スコダによる、ピアノの名曲集。古き良きウィーンの香り漂う、品格のある演奏です。曲数が12曲と少なく消化しやすいこと、バラエティに富んだ本格的な名曲ばかりなのも良いところです。

お子様が自分から練習するようになるには?

一番多い質問は、情報機器(スマートフォン、ゲーム、テレビ、パソコン)に夢中で、練習、読書や勉強をしない、ルールを決めても守れないという悩みです。

IT企業は利益の最大化を目的に、ユーザーの時間を使わせるために巨額の資金と先端技術を投入しています。子供が自分で情報機器の使用を切り上げて練習や勉強に向かうのは非常に難しいことです。

まず大人が、家の中ではスマートフォンに時間を使わないようにして、子供と向き合う時間をとり、本や新聞を読む姿を見せることが大切なのではないでしょうか。

高校生になるまではスマートフォンやタブレットを与えず、家族の供用のパソコンを使う方法をお勧めします。また、練習の時間になったら情報機器を使えない環境を作り、練習を促してください。ルールを決めても守れない場合は、スマートフォンやゲーム機を預かることが必要です。

日常の生活の中で、いつもピアノ曲やクラシック音楽を聴くようにすると、スマホよりも音楽の方が楽しい、「この曲が弾けるようになりたい!」と思うような憧れの心が育ちます。

よく伸びる子、良い演奏をする子は?

幼児期・児童期の子供の仕事は遊ぶことです。

子供が発達の段階に応じて身に付けることを発達課題といいます。子供は仲間との遊びを通して、精神の成長、身体能力の向上、社会性の習得を達成します。幼児期と児童期にはバランスを考えて、友達と遊ぶ、喧嘩や仲直りをする、本を読むといったことに十分な時間を確保してください。

School(学校)の語源はギリシャ語のσχολή (scholē)です。その意味はleasure、free timeで、つまり楽しみ・自由な遊びなのです。

ピアノの演奏も、小学生も半ばになると、「自分の演奏」が求められます。ところが、いくら指がよく動いても、そこで中身がない人、何も言うべきことがない人が多いのです。楽しい遊びをたくさんしてきた子と、習い事と塾で時間を使った子と、歴然とした違いが出てきます。

成長につれて、演奏は人柄や人生観を直接反映します。逆に、音楽の成長が人格の成長にもつながります。

私たちは、素晴らしい音楽は、練習だけでなく、健全な生活習慣と良い人柄から生まれるものだと考えています。また、ご両親が音楽教育に求められていることは、音楽を通じた人格の成長であると確信しています。

ピアノの練習の方法と親の役割を教えてください

普通、1曲をマスターするためには、曲を部分部分に分けて何回かのレッスンで仕上げます。

練習は毎日家で行います。入門時から小学校3〜4年生くらいになるまではお家の方は練習をサポートしてください。導入期はピアノのそばで付き添いが必要です。導入期を過ぎて小学生になったら家事をしながらで構いません。

  1. 家での練習では、最初にハノンやツェルニー等の基礎練習をします。基礎練習がとても大事です。
  2. 次に、前回のレッスンで教わった部分を先生に言われたことができるようになるまで繰り返し練習します。
  3. そして、次のレッスンで先生に見てもらう部分(次回の部分)を弾けるようにします。
  4. 曲の最初から次回の部分までを通して練習します。音楽の全体像をイメージしながら練習します。
  5. 弾きたい曲を弾くのは必要な練習が終わってからにしましょう。
毎日の練習時間の目安を教えてください

小学校2、3年生くらいでソナタやショパンを弾くためには、集中して効率よく練習したとして、入門時は30分くらい、導入期は1時間以上、小学生からは最低毎日1時間半は必要です。コンクールの前は時間を十分とって、曲が完成するまで練習します。

楽器は1日休むと2日分下手になり、2日休むと3日分下手になると言われています。 毎日、練習をすることが大切です。

家での練習では側についてないといけませんか?

導入期はピアノのそばで付き添いが必要です。導入期を過ぎて小学生になったら家事をしながらで結構です。レッスン中にとったメモを読み返して、先生に言われたことが上手にできるようになるまで練習させてください。親がスマートフォンを見ていれば、お子さんもそれでいいと思って真面目に練習しなくなります。

親は何年生まで付き添いますか?

個人差はありますが、目安として小学校3〜4年生くらいになったら、自分で練習をするように促します。その時期が来たら、お家の方は適度な距離を取りつつ見守りましょう。

最近は男子の生徒が多く、母親は距離の取り方に戸惑うようです。5年生くらいになると親が一緒にいることを嫌がるようになります。思春期が近づくと親も自覚が必要です。コンクールでは、親は子供と別に行動するのも一つの方法です。

やる気や集中力が出ないようです

十分な睡眠をとっていないと、やる気が出ず、集中力が湧きません。脳の発達も妨げます。

この図は、米国睡眠財団が科学的な根拠に基づいて推奨している睡眠時間です。

  • 新生児   15時間半 (14-17時間)
  • 4ヶ月~1歳   13時間半 (12-15時間)
  • 1〜2歳   12時間半 (11-14時間)
  • 3〜5歳   11時間半 (10-13時間)
  • 6〜13歳   10時間 (9-11時間)
  • 14〜17歳   9時間 (8-10時間)
  • 18〜64歳   8時間 (7-9時間)
  • 64歳〜   7-8時間

寝室にスマートフォンなどの情報機器を持ち込ませないことが非常に大事です。

当教室の生徒には、早く寝て登校前にも練習をしているお子さんもいます。

幼稚園と小学校1年生くらいまではお昼寝の時間も必要です。お昼寝の時間にちょうどレッスンになると、ピアノの前で眠くなってしまいます。当教室では、幼稚園・保育園の後で一眠りしてからレッスンを受けられることをお勧めしています。

ピアノは学校の勉強に役に立ちますか?

ピアノは、お子様自身の楽しみや情熱によって弾くことが大切です。何かに役立つとか、他人の評価を気にするような動機付けをするのは考えものです。お小遣いやおもちゃで釣るのはもってのほかです。

一方で、親の立場からすると、お子様が高い教養を持つ人に成長するには芸術の素養が必要だと考えるのは自然なことです。幼少期からピアノの練習を続けると、努力をする習慣、行動力と舞台度胸が身につきます。

東大合格者数で日本一の開成中学・高等学校では全員がピアノの授業を受けています。新入生の約40%は『ピアノを習ったことがある』そうです。

当教室では、塾に行っていなくても勉強ができる子は多いです。お子さんの視野が広がるレッスンを心がけており、レッスンで培われた思考力や集中力が勉強に活きているようです。卒業生からは県のトップ校である土浦一高に3人、竹園高校、土浦日大高校スーパーハイ・クラスに1人、東京芸術大学・筑波大学・慶應義塾大学・早稲田大学等に入学しています。また、学校の音楽祭や合唱祭でピアノ伴奏をすると、お子様が自信を持ったりクラスで尊敬を得るようになることがよくあります。

ピアノを辞めるとき

本来、子供には計り知れない能力があります。

幼稚園・保育園で辞める場合は、親がお子さんの能力を過小評価してしまい「うちの子には無理です」とブレーキをかけるケースと、逆に過大な期待を抱いて、「コンクールで○○賞を取れなかったショックで辞めます」というケースが少なくありません。

親にとっては子供は赤ちゃんの延長上にあります。また、自分と同一視して「そんなことは自分には無理だ。うちに子にもできるはずがない」と思いがちです。個人差が大きいので人それぞれではありますが、親が子供の未来を潰してしまうのはよくありません。

小学校の途中まででピアノをやめる場合も、お子さんが自分から辞めたいと言うことは滅多にありません。親が理由を作って辞めるケースがほとんどです。小学校高学年からは、受験を理由に辞める人がでてきます。

中学生、高校生になってもピアノを続けていれば、自分の楽しみとして永く続きます。

お子様が自分から「辞めたい」「行きたくない」と言い続けたら、辞めてもよいと思います。無理強いはよくありません。

まずは、お子様が疲れる状況に追い込まれていないかを確認することが大切です。毎日、夜早く寝て9時間から10時間の睡眠をとっているか、塾や習い事が詰め込まれていて、ゆっくり本を読んだりお友達と十分に遊ぶ時間が取れない状況になっていないか、そこをまず改善する必要があります。

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