ピアノの上達と、難関校進学との両立について
20年の指導経験から
参考: 塾・家庭教師・通信教育なしで国立大学へ、我が家の場合
「ピアノを習うことは、学校の勉強にも役立ちますか?」
つくば学園都市は人口増加率が日本一で、お子様の教育に関心のある家族が移り住んできます。当教室ではこれまで多くの親御様からこの質問をいただいてきました。
当教室が何より大切にしているのは、お子様が音楽を一生の友とし、豊かな人生を送ることです。同時に、ピアノに真剣に向き合ってきた生徒たちが、結果として自分の夢に向かう進路に進んでいます。
卒業生の主な進路
- 東京大学
- 慶應義塾大学
- 早稲田大学
- 学習院大学
- 北海道大学
- 筑波大学
- 東京芸術大学
- カリフォルニア大学 (UCLA)
- 土浦第一高校
- 竹園高校
- 土浦日大高校 (スーパーハイクラス)
なぜ、ピアノがお子様にとって良いのか、どのように志望校に進学しているのか、20年以上の指導の中で、いろいろな失敗や試行錯誤を重ねながら学んだことを、少しだけご紹介します。意外に思われることが多いと思います。
興味と楽しさ
当教室に来る生徒さんは、「ごく普通の子」です。「うちの子は、大丈夫かしら」という年齢のお子様が来られます。
最初は「音が鳴るのが楽しい」ところから始まります。
だんだんと、素敵な曲、かっこいい曲を弾いてみたいという「興味」を持ったり、練習を繰り返すうちに形になっていく「作り上げる楽しさ」「探求する面白さ」を実感するようになります。
心の中に、泉のように湧いて出てくる素朴な気持ちです。
ピアノは楽しみで、音楽は人生の友になります。
そのような経験がないと、「毎日、長い練習が必要?」「大変そう」と思われるかもしれませんが、本人にとっては楽しみなので「もっと弾いていたい」と思うものです。
他人に評価されて嬉しいと思う気持ちや、競争に勝つこと、(お金や大学名のような)ステータスに満足するような気持ちとは異なります。アニメやゲームのような面白さ(消費)とも違います。
つくばに多い研究者も、絵描きも、音楽家も、誰に何も言われなくても、お金のためでなくても、何かを探求します。
音楽には、汲めどもつきぬ魅力があります。同様に、研究の世界にも、社会的な活動にも、仕事にも、生活にも、それぞれ魅力があり、学年が進むにつれて自分自身の夢や、世の中への貢献の気持ちを持つようになります。
子供の時からピアノを学ぶことで、何かを深く探求する喜びを知った子は、進学も「自分の夢に向かう道」と思うのではないでしょうか。
ピアノで育まれる「自己効力感、集中力、自信」と進学実績
ピアノの練習は、ただ指を動かすだけではありません。
複雑な和声の動きから作曲家の意図を読み解く力、それを自分ならではの創造性で感情豊かに表現する力、自分の音を客観的に聴く力、そして何より、思い通りにいかない時に粘り強く改善を繰り返す力を必要とします。
AIが簡単に答えを教えてくれる時代に、これらはすべて、受験を乗り切り、その先の人生を切り拓くために必要な力そのものです。
生徒さんに共通しているのは、ピアノの練習で培った「自己効力感」と「集中力」の深さです。
誰でも「やればできる」と思います。アニメやゲームの仮想世界では簡単そうなので、現実もそうかと思ってしまいます。
ピアノはそうではありません。コンクールで思うような演奏ができなくて、涙を流すこともあります。
ピアノに真剣に向き合うと、子供のうちに、「毎日コツコツと努力をしたら、できた」、「やらなかったら、できなかった」を肌で感じます。だんだんと、「自分ならできる!」「努力すれば達成できる!」と思える自信を持つようになります。
コンクールまでの限られた時間の中で、いかに曲を仕上げるか。それが、そのまま勉強の効率にも反映されているようです。
ピアノで「深く集中する力」や「効率よく課題をこなす力」を身につけると、勉強にも活かせます。低学年のうちから自宅で勉強する習慣をつけて、学校で習ったことをマスターしていることが大事です。そうすると、ある程度の成績を維持できます。
それがないと、高学年になって成績が足りず、「塾に行かせます」「ピアノはやめます」となってしまいます。塾に行くと自分の勉強の時間が取れなくなるのと、寝るのが遅くなって授業中に眠くなるため、本当に成績が伸びるのか考えどころです。
自分から進んで練習や勉強をする子に育てるには?
これもとても多い質問です。生徒さんは、自分で進んでするか、親に言われて渋々するかのどちらかです。
当教室ではまず「ご家庭の環境」についてお話しします。お子様にとって、アニメのテーマ曲は身近でも、ショパンやバッハのピアノ曲は意識しなければ出会えない世界です。
そこでお勧めしたいのが、ご家庭で日常的に良い曲を聴く習慣です。「子は親の鏡」と言います。ご家庭でショパンやモーツァルトの曲をよく聞けば、お子様も「この曲は大好き」「こんな曲が弾けるのはすごい」と思います。
「あの曲を弾いてみたい」という憧れは、どんな厳しい指示よりもお子様を突き動かします。ご両親が音楽を楽しまれている姿は、お子様にとって何よりの応援になるのです。
YouTubeでショパン・コンクールが動画配信されるようになって、ピアノが人気です。この頃、生徒さんのご家庭では、「ショパン・コンクールで、〇〇さんの顔芸がすごい」「どうしてあの人がファイナルに進めなかったのかな」といった話題が出るそうです。
勉強も同じです。いつも友達と外遊びをしていれば、虫や空に興味を持ちます。お家の方がいつも新聞や本を読んでいれば、お子様も「よほど面白いに違いない」と思って読むようになります。夕食で新聞記事の話題が出れば、社会や世界に想像が広がります。
受験で有利、ではなく、音楽は純粋に素晴らしいし、勉強は面白い、というところが大事な点だと思います。
デジタル時代だからこそ、本物と向き合う時間を
ただ、お子様にとって、ピアノや勉強よりも面白い「誘惑」があれば、うまくいきません。
スマートフォンやタブレットの普及により、現代のお子様は常に強い誘惑にさらされています。IT企業が巨額を投じて中毒性の高いサービスを開発し、人々の時間を奪い合っているのはご存知の通りです。
お子様が自力でそこから抜け出し、ピアノや読書に向かうのは、大人が想像する以上に難しいことです。
だからこそ、家の中に「ピアノの音色だけに耳を澄ませる時間」を意識的に作ってあげてください。子は親の鏡。一番よいのは、中学生くらいまでは自分専用のスマートフォンを持たせず、家族全体で「家の中ではスマートフォンを使わない」というルールを作ることではないでしょうか。
デジタルな音ではない、弦が震え、空気が震える「本物の音」に毎日触れる。その贅沢な時間が、お子様の繊細な感性と、深い集中力を守ることにつながります。
親御様の人生にとっての意味
送り迎えがありますので、お家の方は大変だと思います。ある方は「娘が、素敵な曲を弾いて、それが楽しみだった」と言われていました。娘さんは、早稲田大学に進学されるまで練習に通われていました。
幼児から始められる方は、親御様としてはまだまだ心配な頃です。
「うちの子にできるんだろうか」と思っていた子が、コンクールに出ます。自分には経験がないような全国の大会に出場するとなると、おじいちゃん、おばあちゃんにも緊急連絡です。
賞など受賞すると一家で感銘を受け、「子どもへの見方が変わった」「人生観が変わった」ということがよくあります。
その過程では、いろいろな葛藤や我慢を乗り越えるわけですので、「私たちにとっても成長の機会でした」と伺うことも多いです。
今までの経験から、ピアノに集中したお子様は結果が出ています。お子様のために良かれと思って習い事を増やしても、お子様は二兎を追うことになってしまいます。本来、子供の本分は遊びですので、活発に外遊びをしていれば体力や人間関係は十分です。
ピアノにひとつプラスするなら、娘がやってきた、毎日フィリピンの英会話の先生と練習ができる「レアジョブ」英会話をお勧めします。コロナのステイホームの辛い時期でも、2階から笑い声が聞こえて来ました。小さいうちから毎日、先生と英語でお話ししていると、どこかの時点で短期留学ができるくらいの英会話力が身につきます。
塾・家庭教師・通信教育なしで国立大学へ、我が家の場合
うちには娘が二人います。ここに書くのは、(ここに書けないような)失敗もしながら学んだ、試行錯誤の経験です。
一人は地元の国立大学を経てソフトウェア開発の仕事につき、もう一人は東京大学の大学院で研究に打ち込んでいます。
ふたりとも、ピアノに関してはコンクールに出られるような生徒ではありませんでしたが、中学校の合唱祭ではピアノの伴奏者に選ばれて、ノバホールの舞台で演奏をしました。
塾に関しては、塾に行くようになると遅い時間に寝ることになるので、学校では眠くなります。そうなると成績が伸びず、更に塾が必要だと思わせられる、という悪循環は避けたいと考えました。
ですから、ふたりとも塾も家庭教師も経験がありません。一番の秘訣は、早く寝て、授業でよく先生のお話を聞いていたことだそうです。「小学校も中学校も、授業中に眠くなったことは一回もなかった」と言っています。
娘たちは、塾やゲームに時間を使わずに済んだので、友達との外遊びやブロック遊び、読書やピアノの時間が十分にありました。平日は漢字や計算の宿題をして、土曜日と日曜日の午前中は、父親の傍で勉強をしていました。中・高の英語では、教科書で習った章を丸暗記して音読をしました。これは英語の感覚をつけるのに役立ちました。
その結果、成績はクラスで中の上か、上の下くらいをさまよっていましたが、進路を自分で決めて、自分で勉強をして大学に入りました。「アルバイトで塾の面接を受けたら、落とされた」と笑っています。
また、素直で、いつも機嫌が良いです。塾代がかからずに助かりました。
幼児では11〜13時間くらい、小学生なら9〜12時間、中学・高校生なら9時間程度の睡眠が必要と言われています(参考:米国睡眠財団 NSF "How Much Sleep Do We Really Need?")。
幼稚園では8時までに、小学校低学年では8時代に就寝していました。今は家族ともども10時半には寝ています。それより遅くなると、翌日の機嫌や集中力に響きます。
効果的な練習のステップと、お家の方の寄り添い方
教室でのレッスンでは、家で練習してきた課題を仕上げて、次の課題の練習方法を習います。
練習はレッスンではなく家で行いますので、以下のようなステップをお勧めしています。(詳細はレッスンをご覧ください。)
- 基礎練習:ハノンもチェルニーも音楽的に弾いて、指と気持ちを温めます。
- 部分練習:前回のレッスンで指摘された箇所をできるようになるまで繰り返します。「意味のある部分練習」が大切です。
- 次回の予習:先生に次に見てもらう部分を自力で読み解きます。
- 通し練習:全体の流れを確認し、音楽をイメージします。
漫然と弾くのではなく、習ったことを思い出して、滑らかにできるようになるまで繰り返し練習します。特に大切なのはタッチです。音色やニュアンスはタッチによって作られますので、ピアノの響きを確かめながら弾きます。また、曲の構成を学んで、自分の解釈を考えます。
コンクールでは、丁寧なタッチ、美しい音色、曲の構成を踏まえた解釈が評価されています。審査員の先生方からは「ビューティフル・サウンド」「品格のある演奏」「良い教育を受けています」「アカデミックな演奏ですね」などと講評をいただきました。
小学校低学年くらいまでは、お家の方のサポートが必要です。でも、厳しく教える必要はありません。ピアノのそばに座り、「今の響き、素敵だったね」「先生に言われたことはどうだったかな?」とレッスンで習ったことを思い出させたり、励ましてあげたりすると良いと思います。
親が先生になると、お子様は家で弾くことをためらうようになりがちです。
時々、「男子の生徒さんはどう接すればいいですか?」と聞かれます。高学年になり思春期が近づいたら、少しずつ距離を取り、静かに見守る応援団へとシフトしていくのが、上手に自立を促すコツかもしれません。
一生の友人としてのピアノ
受験や進学など、環境が変わる時にピアノを辞めるか悩まれることもあるでしょう。でも、小学校までにショパンの名曲を音楽的に弾けるレベルにたどり着いておけば、その後、たとえ細く長くであってもピアノが楽しみとして続きます。
将来大人になった時、それは誰にも奪われない「自分だけの宝物」になります。
ピアノを通じて身につけた「努力できる自分への自信」と「豊かな感性」は、必ずお子様の未来を助ける力になります。その成長の過程に携われることを、いつも心から嬉しく思っています。
ピアノを習うお子様のよくある質問 ⇨



